- 歌の意味
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美しく咲き映えているのだろう、霞の中の桜の花は。遠く思いやるだけでも、惜しまれる春であることよ。
- 鑑賞
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巻第十一 恋歌一 1016
詞書「女を物越しにほのかに見てつかはしける」
春の花に寄せて恋を詠む一連の一首目である。霞に隔てられた桜の美しさを思いやり、過ぎてゆく春を惜しむ思いに、かすかに見た女への恋を重ねる。詞書によれば、女を物越しにかすかに見て贈った歌である。
作者の「清原元輔」は清原深養父の孫で、清少納言の父である。梨壺の五人の一人として『後撰和歌集』の撰進にあたり、三十六歌仙の一人に数えられる。
初句「匂ふらん」の「匂ふ」は、色美しく照り映える意で、「らん」は現在推量である。見えない桜の美しさを推し量る。
二句「霞のうちの」は、霞に隔てられた中の、の意で、物越しに隔てられた女のさまを重ねる。
三句「桜花」は、かすかに見た女をたとえる。ここで三句切れとなり、初句と倒置になる。
四句「思ひやりても」は、遠く思いやるだけでも、の意である。
結句「惜しき春かな」は詠嘆の「かな」で結ぶ。はっきり見られないまま過ぎてゆく春を惜しむ思いに、見えそうで見えない女への恋が重なる。巻頭以来の見るだけの恋を春の景で変奏したもので、次歌の能宣歌も咲き散る花の春を詠み、春の花に寄せた恋が二首続く。
にほふ:色美しく照り映える
ものごし:几帳や簾などを隔てていること
おもひやる:遠く思いをはせる
- 作者
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清原元輔
- 出典
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新古今和歌集
- 前の歌
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人知れず思ふ心はあしひきの 山下水のわきやかへらん
- 次の歌
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幾かへり咲き散る花をながめつつ 物思ひ暮らす春に逢ふらん