片岡の雪間に根ざす若草の
ほのかに見てし人ぞ恋しき
- 歌の意味
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片岡の雪の消え間に根を下ろして萌え出た若草のように、ほのかに見かけたあの人が恋しい。
- 鑑賞
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巻第十一 恋歌一 1022
詞書「題しらず」
かすかなしるしを求める恋を詠む一連の一首目である。雪間に萌え出た若草のように、ほのかに見かけた人が恋しいと詠む。詞書は題しらずで、詠まれた事情は記されていない。
作者の「曽祢好忠」は平安時代中期の歌人である。丹後掾を務めたことから曽丹と呼ばれ、新奇な語や表現を用いた歌で知られる。家集に『曽丹集』がある。
初句「片岡の」の片岡は、片側が傾斜した岡の意である。
二句「雪間に根ざす」は、雪の消えた間に根を下ろして生え出る、の意である。
三句「若草の」は、萌え出たばかりの草で、初句からここまでが、わずかにのぞく若草の姿によって「ほのかに」を導く序詞となる。
四句「ほのかに見てし」の「てし」は完了の「つ」と過去の「き」で、ほんのかすかに見かけた、の意である。
結句「人ぞ恋しき」の「ぞ」は強意の係助詞で、「恋しき」で結ぶ。雪間に萌える若草のみずみずしさが、かすかに見た人の印象と重なる。本巻の第千十八首の「はつかにだにも」と同じく、わずかに見ただけの恋であり、次歌の和泉式部歌も「草のはつかに」と草に寄せて詠み、二首が草の景物でつながる。
ゆきま:積もった雪の消えた所
ねざす:根を下ろす
- 作者
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曽祢好忠
- 出典
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新古今和歌集
- 前の歌
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水の上に浮きたる鳥の跡もなく おぼつかなさを思ふころかな
- 次の歌
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跡をだに草のはつかに見てしがな むすぶばかりのほどならずとも