霜の上に跡踏みつくる浜千鳥
行方もなしと音をのみぞ泣く
- 歌の意味
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霜の上に足跡を踏みつけてゆく浜千鳥が、行くあてもないと鳴くように、私も恋の行方もないと声を上げて泣くばかりである。
- 鑑賞
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巻第十一 恋歌一 1024
詞書「題しらず」
かすかなしるしを求める恋を詠む一連の三首目である。霜の上に足跡を残す浜千鳥が行くあてもなく鳴くように、恋の行方もなく泣くばかりだと詠む。詞書は題しらずで、詠まれた事情は記されていない。
作者の「興風」は相模掾藤原道成の子である。平安時代前期の歌人で、三十六歌仙の一人に数えられ、琴にも長じた。
初句「霜の上に」は、浜辺に降りた霜の上に、の意で、冬の冷えびえとした景を示す。
二句「跡踏みつくる」は、足跡を踏みつけてゆく、の意である。千鳥の足跡は筆跡にたとえられ、前歌の「跡をだに」と響き合う。
三句「浜千鳥」は、冬の浜辺に群れて鳴く千鳥で、初句からここまでが、鳴く千鳥の姿によって下の句を導く。
四句「行方もなしと」は、行くべき先もないと、の意で、千鳥のさまに恋の行く末の見えないことを重ねる。
結句「音をのみぞ泣く」の「ぞ」は強意の係助詞で、「泣く」で結ぶ。本巻の第千九首の深養父歌と同じ結句である。前歌が筆跡だけでも見たいと願ったのに対し、ここでは千鳥が跡を残しても行方は知れず、跡があっても届かない恋の嘆きへと進んでいる。
はまちどり:浜辺にいる千鳥
ね:泣き声
- 作者
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藤原興風
- 出典
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新古今和歌集
- 前の歌
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跡をだに草のはつかに見てしがな むすぶばかりのほどならずとも
- 次の歌
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秋萩の枝もとををに置く露の 今朝消えぬとも色に出でめや