秋風に乱れてものは思へども
萩の下葉の色は変はらず
- 歌の意味
-
秋風に萩が乱れるように、心乱れて物思いをしているけれども、萩の下葉の色が変わらないように、私の様子は表に変わりを見せない。
- 鑑賞
-
巻第十一 恋歌一 1026
詞書は前の歌に続き「題しらず」
思いを色に出すか否かをめぐる忍ぶ恋を詠む一連の二首目である。秋風に乱れる萩のように心は乱れても、萩の下葉の色は変わらないと、思いを表に見せない恋を詠む。詞書は題しらずで、詠まれた事情は記されていない。
作者の「藤原高光」は右大臣藤原師輔の子である。三十六歌仙の一人で、右少将に至ったが、若くして出家して比叡山横川に入り、のち多武峰に住んで多武峰少将と呼ばれた。
初句「秋風に」は、秋風に吹かれて、の意である。
二句「乱れてものは」は、秋風に萩が乱れるさまと、心が乱れて物思いをするさまを重ねる。
三句「思へども」は逆接で、物思いはしているけれども、と下の句に転じる。
四句「萩の下葉の」の下葉は、下のほうの葉で、秋が深まると最初に色づくものとして詠まれた。
結句「色は変はらず」は、その下葉の色は変わらない、の意で、心は乱れても表の色は変えないことを示す。前歌の萩の露に続いて萩の下葉を詠み、萩に寄せた忍ぶ恋が二首続けて並べられている。
したば:草木の下のほうの葉
- 作者
-
藤原高光
- 出典
-
新古今和歌集
- 前の歌
-
秋萩の枝もとををに置く露の 今朝消えぬとも色に出でめや
- 次の歌
-
我が恋も今は色にや出でなまし 軒のしのぶももみぢしにけり