我が恋は槙の下葉にもる時雨
濡るとも袖の色に出でめや
- 歌の意味
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私の恋は、槙の下葉に漏れ落ちる時雨のようなものだ。涙に濡れても、袖の色に出したりするだろうか。
- 鑑賞
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巻第十一 恋歌一 1029
詞書「北野宮歌合に忍恋の心を」
思いを色に出すか否かをめぐる忍ぶ恋を詠む一連の五首目である。我が恋を槙の下葉に漏れる時雨にたとえ、涙に濡れても袖の色には出さないと詠む。詞書によれば、北野宮の歌合で「忍恋」の題により詠まれた。
作者の「太上天皇」は後鳥羽院である。高倉天皇の第四皇子で、譲位後に院政を行い、和歌所を置いて『新古今和歌集』の撰進を命じ、自らも撰に深くかかわった。
北野宮歌合は、北野天満宮に奉納された歌合である。
初句「我が恋は」は、我が恋をたとえるものを下に示す形で起こす。
二句「槙の下葉に」の槙は、杉や檜など常緑の良材の総称で、時雨にも色を変えない木として詠まれる。
三句「もる時雨」は、下葉に漏れ落ちる時雨の意で、体言で止めて我が恋をたとえる。ここで三句切れとなる。
四句「濡るとも袖の」は、時雨に濡れるように涙に濡れても、袖の、の意である。
結句「色に出でめや」の「めや」は反語で、袖の色に出したりするだろうか、決して出しはしない、の意である。本巻の第千二十五首の家持歌と同じ結句である。前歌の良経歌の神杉と同じく、常緑の木と時雨に寄せて、色に出ない忍ぶ恋を詠んでいる。
まき:杉や檜など常緑の良材の総称
もる:すき間からこぼれ落ちる
しぐれ:秋の末から冬の初めに降ったりやんだりする雨
- 作者
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後鳥羽院
- 出典
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新古今和歌集
- 前の歌
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石上布留の神杉ふりぬれど 色には出でず露も時雨も
- 次の歌
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我が恋は松を時雨の染めかねて 真葛が原に風騒ぐなり