思ひつつ経にける年のかひやなき
ただあらましの夕暮の空
- 歌の意味
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思い続けて過ごしてきた年月のかいもないのだろうか。ただ、こうであればと思い描くばかりの夕暮れの空であることよ。
- 鑑賞
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巻第十一 恋歌一 1033
詞書「水無瀬にてをのこども久恋といふことをよみ侍りしに」
長く秘めた恋を詠む一連の一首目である。思い続けて過ごした年月のかいもなく、恋人の訪れを思い描くばかりで夕暮れの空を眺めていると詠む。詞書によれば、水無瀬で近臣の男たちが「久恋」の題で詠んだ折の歌である。
作者の「太上天皇」は後鳥羽院である。高倉天皇の第四皇子で、譲位後に院政を行い、和歌所を置いて『新古今和歌集』の撰進を命じ、自らも撰に深くかかわった。
水無瀬は摂津国、今の大阪府島本町の地で、後鳥羽院の離宮があった。
初句「思ひつつ」は、思い続けながら、の意である。
二句「経にける年の」は、過ごしてきた年月の、の意で、題の「久」を表す。
三句「かひやなき」の「や」は疑問の係助詞で、「なき」で結ぶ。かいもないのだろうか、の意で、ここで三句切れとなる。
四句「ただあらましの」の「あらまし」は、こうあってほしいと前もって思い描くことである。
結句「夕暮の空」は体言止めである。夕暮れは恋人の訪れを待つ時刻で、来るかもしれないと思い描くばかりで空を眺めるほかない。前歌まで夏の恋が続いたのを受けて、長い年月の恋へ移る。本巻の第九百九十八首と第九百九十九首も「年を経て」「年月は」と、年を重ねた思いを詠んでいた。
かひ:効き目、しるし
あらまし:前もってこうあってほしいと思い描くこと
- 作者
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後鳥羽院
- 出典
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新古今和歌集
- 前の歌
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おもひあれば袖に蛍を包みても 言はばや物を問ふ人はなし
- 次の歌
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玉の緒よ絶えなば絶えね長らへば 忍ぶることの弱りもぞする