我が恋は知る人もなしせく床の
涙もらすなつげの小枕
- 歌の意味
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私の恋は知る人もいない。せき止めている寝床の涙を漏らさないでおくれ、黄楊の小枕よ。「告げ」という名を持つおまえも、人には告げないでおくれ。
- 鑑賞
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巻第十一 恋歌一 1036
詞書は前の歌に続き「百首歌の中に忍恋を」
長く秘めた恋を詠む一連の四首目である。この恋を知る人はいないのだから、寝床でせき止めている涙を漏らすなと、黄楊の小枕に呼びかける。詞書によれば、前歌と同じ百首歌の中の「忍恋」の題による歌である。
作者の「式子内親王」は前歌から続く表記で、後白河天皇の皇女である。賀茂の斎院を務め、のち出家した。藤原俊成に和歌を学んだ。
本歌は『古今和歌集』の平貞文の「枕よりまた知る人もなき恋を涙せきあへずもらしつるかな」である。
初句「我が恋は」は、本巻の第千二十九首と第千三十首と同じ初句で起こす。
二句「知る人もなし」は、知る人もいない、の意で、ここで二句切れとなる。
三句「せく床の」の「せく」は、流れる涙をせき止める意で、ひとり涙をこらえる寝床をいう。
四句「涙もらすな」の「な」は禁止で、涙を漏らすな、の意である。
結句「つげの小枕」の「つげ」は、枕の材の黄楊と、人に「告げ」る意を掛け、体言止めで枕に呼びかける。本歌の平貞文の歌が、涙をせき止めきれずに漏らしてしまったと詠んだのに対し、この歌は漏らすなと枕に命じる形に転じている。式子内親王の三首は、命、月日、枕と、忍ぶ恋をそれぞれ異なる面から詠んでいる。
せく:流れをせき止める
つげ:枕の材の黄楊の意と、人に告げる意を掛ける
をまくら:小さな枕
- 作者
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式子内親王
- 出典
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新古今和歌集
- 前の歌
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忘れてはうち嘆かるる夕べかな 我のみ知りて過ぐる月日を
- 次の歌
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忍ぶるに心のひまはなけれども なほもるものは涙なりけり