ほととぎす忍ぶるものを柏木の
もりても声の聞こえけるかな
- 歌の意味
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ほととぎすは声を忍んでいるというのに、柏木の森から漏れて、その声が聞こえてきたことだ。
- 鑑賞
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巻第十一 恋歌一 1046
詞書「返し」
五月の景物に寄せる恋を詠む一連の五首目で、前歌への返歌である。ほととぎすは忍んで鳴いているのに、柏木の森から漏れて声が聞こえてきたと、兵衛佐であった道長を柏木に掛けて応じる。詞書によれば前歌の藤原道長への返しである。
作者の「馬内侍」は平安時代中期の女房歌人で、中古三十六歌仙の一人である。
初句「ほととぎす」は、贈歌の初句を受ける。
二句「忍ぶるものを」の「ものを」は逆接で、忍んでいるのに、の意である。初夏の鳴きはじめのほととぎすの小さな声は忍び音と呼ばれた。
三句「柏木の」の柏木は柏の木で、木を守る葉守の神が宿るとされたことから、宮中を守る兵衛府や衛門府の異称となった。兵衛佐であった道長を指している。
四句「もりても声の」の「もり」は、声が漏れる意の「漏り」と、「森」を掛ける。本巻の第千三十一首の良経歌の「もりの露」と同じ掛詞である。
結句「聞こえけるかな」は、聞こえてきたことだ、の意で、詠嘆の「かな」で結ぶ。贈歌が「まだふみなれぬ」と言い寄りはじめのためらいを詠んだのに対し、忍んでいるつもりでも噂は漏れ聞こえていると、軽くいなしている。
しのぶ:人目を避けて隠す
かしはぎ:柏の木、また兵衛府や衛門府の異称
もり:声が漏れる意の「漏り」と、「森」を掛ける
- 作者
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馬内侍
- 出典
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新古今和歌集
- 前の歌
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ほととぎす声を聞けど花の枝に まだふみなれぬ物をこそ思へ
- 次の歌
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心のみ空になりつつほととぎす 人頼めなるねこそ泣かるれ