み熊野の浦よりをちに漕ぐ舟の
我をばよそに隔てつるかな
- 歌の意味
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熊野の浦から沖のかなたへ漕ぎ出してゆく舟のように、あなたは私をよそに隔ててしまったことだ。
- 鑑賞
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巻第十一 恋歌一 1048
詞書「題しらず」
逢えない恋を地名や景物に寄せて詠む一連の一首目である。熊野の浦から遠く沖へ漕ぎ去る舟のように、相手が自分を遠く隔ててしまったと嘆く。詞書は題しらずで、詠まれた事情は記されていない。
作者の「伊勢」は、藤原継蔭の娘である。父が伊勢守であったことから伊勢と呼ばれた。宇多天皇の中宮温子に仕え、宇多天皇の寵を受けて皇子を生んだ。三十六歌仙の一人である。
初句「み熊野の」の「み」は美称で、熊野は紀伊国の南部、熊野三山のある地である。
二句「浦よりをちに」は、浦から遠く沖のほうへ、の意で、「をち」は遠く離れた所をいう。
三句「漕ぐ舟の」は、漕ぎ去ってゆく舟の、の意で、初句からここまでが序詞となり、遠ざかる舟に離れてゆく相手を重ねる。
四句「我をばよそに」は、私をよそに、の意で、巻頭歌以来の「よそ」の語が用いられている。
結句「隔てつるかな」は、隔ててしまったことだ、の意で、詠嘆の「かな」で結ぶ。次歌も伊勢の歌で、難波潟の葦に寄せて、逢わずに過ごせと言うのかと恨む。
うら:海が陸に入り込んだ所、入り江
をち:遠く離れた所
- 作者
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伊勢
- 出典
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新古今和歌集
- 前の歌
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心のみ空になりつつほととぎす 人頼めなるねこそ泣かるれ
- 次の歌
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難波潟短き葦の節の間も 逢はでこのよを過ぐしてよとや