涙川身もうくばかり流るれど
消えぬは人のおもひなりけり
- 歌の意味
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涙の川は身も浮くほどに流れるけれど、その水にも消えないのは、あの人を思う恋の火であったよ。
- 鑑賞
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巻第十一 恋歌一 1060
詞書は前の歌に続き「題しらず」
元真歌二首の二首目である。涙の川は身も浮くほどに流れるのに、それでも消えないのは人を思う恋の火だと、水と火を対にして詠む。詞書は題しらずで、詠まれた事情は記されていない。
作者の「藤原元真」は前歌から続く表記で、平安時代中期の歌人である。三十六歌仙の一人に数えられ、家集に『元真集』がある。
初句「涙川」は、涙が川のように流れることをいう。
二句「身もうくばかり」の「うく」は、身が浮く意と、つらい意の「憂く」を掛ける。
三句「流るれど」は逆接で、流れるけれど、と下の句へ転じる。
四句「消えぬは人の」は、消えないのは人を思う、の意である。
結句「おもひなりけり」の「おもひ」は、恋の思いに「火」を掛ける。「涙川」「流る」の水と、「おもひ」「消え」の火が対をなし、身も浮くほどの涙にも消えない恋の火を示している。前歌の凍った冬の池から、流れる涙の川へと水の姿を変えて、同じ作者の歌が続く。
なみだがは:涙が川のように流れること
うく:身が浮く意と、つらい意の「憂く」を掛ける
おもひ:恋の思いの意と、火の意を掛ける
- 作者
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藤原元真
- 出典
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新古今和歌集
- 前の歌
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霜氷こころもとけぬ冬の池に 夜更けてぞ鳴く鴛の一声
- 次の歌
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いかにせん久米路の橋の中空に 渡しも果てぬ身とやなりなん