小牡鹿伏す夏野の草の道をなみ
茂き恋路にまどふころかな
- 歌の意味
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牡鹿が伏す夏野の草が深く茂って道もないように、茂った恋の道に迷うこのごろであるよ。
- 鑑賞
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巻第十一 恋歌一 1069
詞書は前の歌に続き「題しらず」
山や夏野に寄せて恋を詠む一連の三首目である。牡鹿の伏す夏野の草が茂って道もないように、茂る恋の道に迷っていると詠む。詞書は題しらずで、詠まれた事情は記されていない。
作者の「坂上是則」は平安時代前期の歌人で、三十六歌仙の一人である。大和権少掾、加賀介などを務め、子の望城は梨壺の五人の一人に数えられる。
初句「小牡鹿伏す」の「を」は接頭語で、牡鹿が伏して休む、の意である。
二句「夏野の草の」は、夏野に深く茂る草の、の意である。
三句「道をなみ」は、「〜を…み」の形で原因を表し、道がないので、の意である。初句からここまでが、下の「茂き恋路」を導く。
四句「茂き恋路に」は、草の茂みに、深く思い乱れる恋の道を重ねる。
結句「まどふころかな」は、迷うこのごろであるよ、の意で、前歌の「思ふころかな」と同じく「ころかな」で結ぶ。前歌の山の麓の夏草から、夏野の草へと景を移し、深い恋から道に迷う恋へと進んでいる。
をしか:雄の鹿
こひぢ:恋の道
まどふ:道に迷う
- 作者
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坂上是則
- 出典
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新古今和歌集
- 前の歌
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あしひきの山下茂き夏草の 深くも君を思ふころかな
- 次の歌
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蚊遣火のさ夜更けがたの下焦がれ 苦しや我が身人知れずのみ