難波人いかなるえにか朽ち果てん
逢ふことなみに身をつくしつつ
- 歌の意味
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難波の人は、どのような入り江で朽ち果てるのだろうか。逢うこともないまま、澪標のように身を尽くし続けて。
- 鑑賞
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巻第十一 恋歌一 1077
詞書「和歌所歌合に忍恋をよめる」
葦に寄せて恋を詠む一連の二首目である。難波人はどのような入り江で朽ち果てるのかと問い、逢うこともないまま身を尽くし続けると詠む。詞書によれば、和歌所の歌合で「忍恋」の題により詠まれた。
作者の「摂政太政大臣」は九条良経である。関白九条兼実の子で、摂政太政大臣に至った。『新古今和歌集』の仮名序を書いた。
初句「難波人」は、難波に住む人の意である。難波は葦が生い茂り、澪標の立つ地で、本巻の第千四十九首、第千六十三首にも詠まれている。
二句「いかなるえにか」の「え」は、入り江の「江」と、男女の縁の「縁」を掛ける。「か」は疑問の係助詞で、三句の「ん」で結ぶ。
三句「朽ち果てん」は、朽ち果てるのだろうか、の意で、水に浸かって朽ちてゆく杭のさまに我が身を重ねる。ここで三句切れとなる。
四句「逢ふことなみに」の「なみ」は、「波」と、ないことを表す「無み」を掛け、難波の縁語となる。
結句「身をつくしつつ」の「つくし」は、水路の目印に立てる澪標の「みをつくし」と、身を尽くす意を掛ける。「江」「波」「澪標」が難波の縁語として連なり、題の「忍恋」を、名も告げぬまま朽ちてゆく身として詠んでいる。
え:入り江の「江」と、男女の縁の「縁」を掛ける
なみ:「波」と、ないことを表す「無み」を掛ける
つくし:澪標の「みをつくし」と、身を尽くす意を掛ける
みをつくし:船に水路を示すために立てた杭
- 作者
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九条良経
- 出典
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新古今和歌集
- 前の歌
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つれもなき人の心のうきにはふ 葦の下根のねをこそは泣け
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海人の刈るみるめをなみにまがへつつ なぐさの浜を尋ねわびぬる