海人の刈るみるめをなみにまがへつつ
なぐさの浜を尋ねわびぬる
- 歌の意味
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海人の刈る海松布を波にまぎらわせるように、逢って見る目もないまま、名を隠したまま、慰めを求めてなぐさの浜を尋ねあぐねてしまった。
- 鑑賞
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巻第十一 恋歌一 1078
詞書「隠名恋といへる心を」
海松布に寄せて恋を詠む一連の一首目である。海人の刈る海松布を波にまぎらわせるように、見る目もないまま、なぐさの浜を尋ねあぐねたと詠む。詞書によれば「隠名恋」の題により詠まれた。
作者の「皇太后宮大夫俊成」は藤原俊成である。権中納言藤原俊忠の子で、皇太后宮大夫に至った。『千載和歌集』を撰し、藤原定家の父である。
隠名恋は、相手の名を隠す恋の意の題である。
初句「海人の刈る」は、海人が刈る、の意である。
二句「みるめをなみに」の「みるめ」は、海藻の「海松布」と、逢って見る「見る目」を掛ける。「なみ」は、「波」と、ないことを表す「無み」を掛け、前歌の四句と同じ掛詞である。
三句「まがへつつ」は、見分けがつかないようにまぎらわせながら、の意である。本巻の第千八首の貫之歌の「雲にまがへつつ」と同じ語で、ここでは題の「名を隠す」ことに対応している。
四句「なぐさの浜を」の「なぐさ」は、紀伊国の歌枕である「名草」と、心を慰める意を掛ける。
結句「尋ねわびぬる」は、尋ねあぐねてしまった、の意である。慰めを求めて浜を尋ねても得られないことを言い、名を隠したまま逢えない恋を、海辺の景だけで詠んでいる。
みるめ:海藻の「海松布」と、逢って見る「見る目」を掛ける
なみ:「波」と、ないことを表す「無み」を掛ける
なぐさ:紀伊国の歌枕「名草」と、心を慰める意を掛ける
まがふ:見分けがつかないようにまぎらわす
たづねわぶ:尋ねあぐねる
- 作者
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藤原俊成
- 出典
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新古今和歌集
- 前の歌
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難波人いかなるえにか朽ち果てん 逢ふことなみに身をつくしつつ
- 次の歌
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逢ふまでのみるめ刈るべきかたぞなき まだ波馴れぬ磯のあま人