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逢ふまでのみるめ刈るべきかたぞなき
まだ波馴れぬ磯のあま人

歌の意味
逢うまでのあいだ、見る目を刈るべき手立てもない。まだ波に慣れない磯の海人のような私である。
鑑賞
巻第十一 恋歌一 1079

詞書「題しらず」
 海松布に寄せて恋を詠む一連の二首目である。逢うまでのあいだ、見る目を刈るすべもないと、まだ波に慣れない磯の海人にたとえて詠む。詞書は題しらずで、詠まれた事情は記されていない。
 作者の「相模」は平安時代中期の女房歌人で、大江公資の妻となったことからこう呼ばれた。中古三十六歌仙の一人である。

 初句「逢ふまでの」は、逢うまでのあいだの、の意である。
 二句「みるめ刈るべき」の「みるめ」は、前歌に続いて、海藻の「海松布」と、逢って見る「見る目」を掛ける。
 三句「かたぞなき」の「かた」は、海松布を刈る「潟」と、手立ての意の「方」を掛ける。「ぞ」は強意の係助詞で、「なき」で結ぶ。ここで三句切れとなる。
 四句「まだ波馴れぬ」は、まだ波に慣れていない、の意で、恋に不慣れであることを重ねる。
 結句「磯のあま人」は体言止めである。前歌の俊成歌が海松布を求めて尋ねあぐねたのに対し、この歌は刈るすべさえ知らない不慣れな身を詠み、次歌が海人の釣舟にその場所を問うことへ続いてゆく。

みるめ:海藻の「海松布」と、逢って見る「見る目」を掛ける
かた:海松布を刈る「潟」と、手立ての意の「方」を掛ける
あまびと:海で漁をしたり藻塩を焼いたりする人
作者
相模
出典
新古今和歌集
前の歌
海人の刈るみるめをなみにまがへつつ なぐさの浜を尋ねわびぬる
次の歌
みるめ刈るかたやいづくぞ棹さして 我に教へよ海人の釣舟