君恋ふとなるみの浦の浜久木
しほれてのみも年を経るかな
- 歌の意味
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あなたを恋い慕う身となって、鳴海の浦の浜ひさぎが潮に濡れてしおれるように、涙にしおれてばかりで年を送ることだ。
- 鑑賞
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巻第十二 恋歌二 1085
詞書「年を経たる恋といへる心をよみ侍りける」
煙や海辺の景物に寄せて胸に秘めた恋を詠む歌群の五首目である。恋い慕う身となって、鳴海の浦の浜ひさぎのように涙にしおれたまま年を送ると嘆く。詞書によれば、「年を経たる恋」、すなわち長い年月にわたる恋を題として詠まれた。
作者の「俊頼朝臣」は源俊頼である。大納言源経信の子で、白河院の命により『金葉和歌集』を撰進した。
鳴海の浦は尾張国(愛知県名古屋市緑区付近)の歌枕で、潮の満ち干する干潟に千鳥などが詠み合わされた。
初句「君恋ふと」は、あなたを恋い慕うとて、の意である。恋の相手が「君」と呼びかけられ、以下の景物がすべてその恋に結び付けられる。
二句「なるみの浦の」の「なるみ」には、恋い慕う身と「成る身」の意と、地名の「鳴海」が掛けられている。
三句「浜久木」は、浜辺に生えるひさぎで、ここまでが四句の「しほれ」を導く序詞となる。
四句「しほれてのみも」は、潮に濡れてしおれるばかりで、の意で、浜ひさぎのさまと、涙に濡れてしおれる自身のさまが重ねられる。
結句「年を経るかな」は、年月を過ごすことよ、の意で、終助詞「かな」が詠嘆を表し、題の「年を経たる恋」を受けている。本巻の第千百十四首も「年の積もりぬるかな」と、逢えぬまま年の重なる嘆きを「かな」で結んでいる。
なるみ:恋い慕う身と成る身の意と、地名の鳴海を掛ける
はまひさぎ:浜辺に生えるひさぎの木
しほる:濡れてしおれる
ふ:年月を過ごす
- 作者
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源俊頼
- 出典
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新古今和歌集
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みるめこそ入りぬる磯の草ならめ 袖さへ波の下に朽ちぬる
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知るらめや木の葉降りしく谷水の 岩間に漏らす下の心を