人知れぬ恋にわが身は沈めども
みるめに浮くは涙なりけり
- 歌の意味
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人に知られない恋に私の身は沈んでいるけれど、あの人を見る目に浮かんでくるのは涙であった。
- 鑑賞
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巻第十二 恋歌二 1091
詞書「見れど逢はぬ恋といふ心をよみ侍りける」
人に言えぬ恋の涙を詠む二首の一首目である。人知れぬ恋に身は沈むが、相手を見る目に浮かぶのは涙だと、沈むと浮くを対にして詠む。詞書によれば、「見れど逢はぬ恋」、すなわち姿を見ることはできても逢うことのできない恋を題として詠まれた。
作者の「花園左大臣」は源有仁である。後三条天皇の孫で、輔仁親王の子である。臣籍に下って左大臣に至った。
初句「人知れぬ」は、人に知られない、の意である。本巻の第千九十三首も「人知れず」で始まり、人に知られぬ恋の苦しさが重ねて詠まれる。
二句「恋にわが身は」は、恋によって私の身は、の意で、三句の「沈め」へ続く。
三句「沈めども」は、沈んでいるけれども、の意で、「ども」は逆接である。恋に身を沈めることを、水に沈むことになぞらえている。
四句「みるめに浮くは」の「みるめ」には、相手を「見る目」と、海藻の「海松布」が掛けられている。「沈む」と「浮く」を対にし、海松布、沈む、浮くを海の縁語として用いる。本巻の第千八十四首も「みるめ」を掛け、逢えぬ恋の涙を詠んでいる。
結句「涙なりけり」の「けり」は気づきを表す詠嘆で、浮かんでいたのは涙であった、と結ぶ。題の「見れど逢はぬ」を、見る目に浮かぶ涙として表している。
みるめ:相手を見る目の意と、海藻の海松布を掛ける
しづむ:水中に沈む、転じて恋に深く思い悩む
- 作者
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源有仁
- 出典
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新古今和歌集
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恋しとも言はば心のゆくべきに 苦しや人目つつむ思ひは
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