もの思ふと言はぬばかりは忍ぶとも
いかがはすべき袖のしづくを
- 歌の意味
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恋に思い悩んでいると口に出さないことだけは忍べても、袖に落ちる涙のしずくはどうしたらよいのだろうか。
- 鑑賞
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巻第十二 恋歌二 1092
詞書「題しらず」
人に言えぬ恋の涙を詠む二首の二首目である。物思いを口に出さずに忍ぶことはできても、袖に落ちる涙だけはどうにもならないと詠む。詞書は題しらずで、詠まれた事情は記されていない。
作者の「神祇伯顕仲」は源顕仲である。右大臣源顕房の子で、神祇伯を務め、堀河院の歌壇で活躍した。
初句「もの思ふと」は、物思いをしていると、の意で、恋に思い悩むことをいう。
二句「言はぬばかりは」は、口に出して言わないことだけは、の意である。本巻の第千九十首が「言はば心のゆくべきに」と言えば晴れる心を詠んだのに対し、ここでは言わずに忍ぶ側から詠まれている。
三句「忍ぶとも」は、こらえ隠すことができても、の意で、「とも」は逆接の仮定である。
四句「いかがはすべき」は、どうしたらよいのか、の意で、疑問の「いかが」を受けて連体形「べき」で結ぶ。倒置によって結句の「袖のしづくを」へ続く。
結句「袖のしづくを」は、袖に落ちる涙のしずくを、の意である。前歌の「涙」に続き、口は閉ざせても涙は隠せないとして、忍ぶ恋が涙によって表に現れることを示している。
ものおもふ:恋などに思い悩む
しのぶ:人目を避けて隠す、こらえる
- 作者
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源顕仲
- 出典
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新古今和歌集
- 前の歌
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人知れぬ恋にわが身は沈めども みるめに浮くは涙なりけり
- 次の歌
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人知れず苦しきものはしのぶ山 下這ふ葛のうらみなりけり