限りあればしのぶの山の麓にも
落葉が上の露ぞ色づく
- 歌の意味
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忍ぶことにも限りがあるので、人目を忍ぶという名の信夫山の麓でも、落ち葉の上に置く露が色づいてゆく。
- 鑑賞
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巻第十二 恋歌二 1095
詞書「千五百番歌合に」
「しのぶ」の名をもつ歌枕に寄せて忍ぶ恋を詠む一連の三首目である。忍ぶにも限りがあって、信夫山の麓でも落ち葉の上の露が色づくように、こらえた涙が色に出てしまうと詠む。詞書によれば、千五百番歌合での詠である。
作者の「左衛門督通光」は源通光である。内大臣源通親の子で、のちに太政大臣に至った。
千五百番歌合は、後鳥羽院が建仁元年(1201)に三十人の歌人に詠ませた百首歌を番えた歌合である。
初句「限りあれば」は、限りがあるので、の意で、忍ぶことにも限度があることをいう。
二句「しのぶの山の」の「しのぶ」には、恋を「忍ぶ」意と、地名の「信夫」が掛けられている。本巻の第千九十三首から続く、「しのぶ」の名をもつ歌枕の三首目である。
三句「麓にも」の「も」は、人目を忍ぶという名の山の麓でさえ、という意を添える。峰の雲を詠んだ前歌に対し、ここでは麓が詠まれ、上下の対比となっている。
四句「落葉が上の」は、落ち葉の上に置いた、の意である。本巻の第千八十七首では下で色を変える木の葉を漏らすなと詠んだが、ここでは散り落ちた木の葉の上の露までが色づいている。
結句「露ぞ色づく」は、係助詞「ぞ」を受けて連体形「色づく」で結ぶ係り結びである。露は涙のたとえで、紅に色づく露に、こらえかねて色の変わった涙が重ねられる。忍ぶ恋が隠しきれずに表へ現れることを、露の色で示している。
しのぶ:恋を忍ぶ意と、地名の信夫を掛ける
いろづく:色が変わる、紅葉する
- 作者
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源通光
- 出典
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新古今和歌集
- 前の歌
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消えねただしのぶの山の峰の雲 かかる心の跡もなきまで
- 次の歌
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うちはへてくるしきものは人目のみ しのぶの浦の海人の栲縄