はるかなる岩のはざまにひとりゐて
人目思はで物思はばや
- 歌の意味
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遠く人里を離れた岩のはざまにひとりでいて、人目を気にすることなく、思う存分物思いをしたいものだ。
- 鑑賞
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巻第十二 恋歌二 1099
詞書は前の歌に続き「題しらず」
こらえきれない忍ぶ恋を詠む一連の三首目である。遠く離れた岩のはざまにひとりいて、人目を気にせず思う存分物思いをしたいと願う。詞書は前歌から続いて題しらずで、詠まれた事情は記されていない。
作者は西行で、呼称の「法師」は僧を指す。俗名は佐藤義清で、鳥羽院に北面の武士として仕えたが、二十三歳で出家し、諸国を旅して歌を詠んだ。
初句「はるかなる」は、遠く離れた、の意で、人里から隔たった場所を示す。
二句「岩のはざまに」は、岩と岩のあいだに、の意である。前歌の「岩隠れ」を受けて岩陰が続けて詠まれ、前歌では岩陰を流れる水が忍ぶ涙であったのに対し、ここでは岩のはざまが人目を逃れる場所として求められている。
三句「ひとりゐて」は、ひとりでいて、の意で、人目のない境遇を願う。
四句「人目思はで」は、人目を気にしないで、の意で、「で」は打消の接続助詞である。本巻の第千九十首の「人目つつむ思ひ」と対照的に、人目を思わずにすむ場所が願われる。
結句「物思はばや」は、物思いをしたいものだ、の意で、「ばや」は自己の願望を表す。四句の「思はで」と結句の「思はばや」とで「思ふ」の語を重ね、人目は思わずに恋だけを思いたいという願いを表している。
はざま:物と物とのあいだ、谷あい
ゐる:その場にいる
ものおもふ:恋などに思い悩む
- 作者
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西行
- 出典
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新古今和歌集
- 前の歌
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人もまだふみ見ぬ山の岩隠れ 流るる水を袖に堰くかな
- 次の歌
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数ならぬ心の咎になし果てじ 知らせてこそは身をも恨みめ