数ならぬ心の咎になし果てじ
知らせてこそは身をも恨みめ
- 歌の意味
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物の数にも入らない私の心の咎だということにして、すべてを終わらせてしまうまい。思いを相手に知らせたうえでこそ、わが身をも恨もう。
- 鑑賞
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巻第十二 恋歌二 1100
詞書は前の歌に続き「題しらず」
こらえきれない忍ぶ恋を詠む一連の四首目である。恋のかなわぬことを取るに足りない自分の心の咎にしてしまうまい、思いを知らせたうえでこそ身を恨もうと詠む。詞書は前歌から続いて題しらずである。原文に作者名はなく、前歌に続いて西行の歌である。
作者は西行で、呼称の「法師」は僧を指す。俗名は佐藤義清で、鳥羽院に北面の武士として仕えたが、二十三歳で出家し、諸国を旅して歌を詠んだ。
初句「数ならぬ」は、物の数にも入らない、取るに足りない、の意で、身の程の低さをいう。
二句「心の咎に」は、心の過ちに、の意で、恋が実らないのを、取るに足りない自分の心の過ちとしてしまうことをいう。
三句「なし果てじ」は、すっかりそうしてしまうまい、の意で、打消意志の「じ」で三句切れとなる。
四句「知らせてこそは」は、思いを相手に知らせてこそ、の意で、係助詞「こそ」が結句の已然形「恨みめ」と係り結びをなす。前歌が人目を離れてひとりで物思いをしたいと願ったのに対し、ここでは相手に思いを知らせようと転じており、二首が反転した構図で並ぶ。
結句「身をも恨みめ」は、わが身をも恨もう、の意で、「め」は意志の助動詞「む」の已然形である。本巻の第千九十三首の「うらみ」が相手への恨みであったのに対し、ここではわが身を恨むとしている。
とが:過ち、罪
なしはつ:すっかりそのようにしてしまう
- 作者
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西行
- 出典
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新古今和歌集
- 前の歌
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はるかなる岩のはざまにひとりゐて 人目思はで物思はばや
- 次の歌
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草深き夏野分け行くさを鹿の 音をこそ立てね露ぞこぼるる