- 歌の意味
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手紙が行き交うことだけで心を慰めて、来世にまで恨みを残したりなさるな。
- 鑑賞
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巻第十二 恋歌二 1103
詞書「大納言成通、文遣はしけれど、つれなかりける女を、後の世まで恨み残るべきよし申しければ」
「後の世」を詠む二首の二首目である。文が行き交うことで心を慰めて、来世にまで恨みを残してくださるなと詠む。詞書によれば、大納言成通が文を送ってもつれなかった女に、来世まで恨みが残るだろうと言ってきたので、女が返した歌である。
作者の「よみ人しらず」は、作者の名が伝わらないことを示す。詞書によれば、成通の文につれなかった女である。
詞書の「大納言成通」は藤原成通で、蹴鞠の名手として知られた。
初句「玉梓の」は、手紙の、の意で、「玉梓」は使者や手紙をいう語である。
二句「通ふばかりに」は、行き交うだけで、の意で、文のやりとりにとどめることをいう。
三句「慰めて」は、心を慰めて、の意で、逢うことはなくとも文の行き交うことで満足してほしいと求める。
四句「後の世までの」は、来世までの、の意で、詞書にある成通の言葉「後の世まで恨み残るべき」を受ける。前歌と同じ「後の世」の語で並べられ、前歌が恋の涙を来世への嘆きと偽ったのに対し、ここでは来世にまで及ぶ恨みを退けている。
結句「恨み残すな」は、恨みを残すな、の意で、禁止の「な」で結ぶ。相手の言葉をそのまま取って打ち返す、返しの歌らしい応じ方である。
たまづさ:手紙、便り
かよふ:行き来する
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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新古今和歌集
- 前の歌
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後の世を嘆く涙と言ひなして しぼりやせまし墨染の袖
- 次の歌
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例あればながめはそれと知りながら おぼつかなきは心なりけり