言はぬより心や行きてしるべする
眺むる方を人の問ふまで
- 歌の意味
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口に出して言わないうちから、私の心があなたのもとへ行って道案内をしたのだろうか。私が眺めている方をあなたが尋ねるまでに。
- 鑑賞
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巻第十二 恋歌二 1105
詞書「返し」
「ながめ」を詠む一連の二首目で、前歌への返しである。口に出して言う前から、私の心があなたのもとへ行って道案内をしたのか、眺めている方をあなたが尋ねるまでになったと答える。詞書によれば、前歌の女車の歌に返した歌である。
作者の「前大納言隆房」は藤原隆房である。権大納言藤原隆季の子で、大納言に至った。
前歌で「例」とされた『伊勢物語』九十九段の女の返し「思ひのみこそしるべなりけれ」の「しるべ」の語を受けている。
初句「言はぬより」は、口に出して言わないうちから、の意である。
二句「心や行きて」は、私の心があなたのもとへ行って、の意で、係助詞「や」が疑問を表し、三句の連体形「する」で結ばれる。
三句「しるべする」は、道案内をする、の意である。『伊勢物語』の女の歌で思いが「しるべ」とされたのを受け、心が案内したのかと応じる。
四句「眺むる方を」は、私が眺めている方角を、の意で、前歌の「ながめ」を受ける。前歌が「ながめはそれと知りながら」と詠みかけたのに対し、眺める方角という形で答えている。
結句「人の問ふまで」は、あなたが尋ねるまでに、の意である。前歌の「おぼつかなきは心なりけり」に対し、あなたが尋ねてくるのは、私の心がすでにあなたに通じているからだと切り返している。
しるべ:道案内、手引き
- 作者
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藤原隆房
- 出典
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新古今和歌集
- 前の歌
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例あればながめはそれと知りながら おぼつかなきは心なりけり
- 次の歌
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眺めわびそれとはなしにものぞ思ふ 雲のはたての夕暮の空