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眺めわびそれとはなしにものぞ思ふ
雲のはたての夕暮の空

歌の意味
物思いに沈んで眺めることにも疲れて、何ということもなく物思いをすることだ。雲の果てまで広がる夕暮れの空に。
鑑賞
巻第十二 恋歌二 1106

詞書「千五百番歌合に」
 「ながめ」を詠む一連の三首目である。物思いに沈んで眺めることにも疲れ果て、何ということもなく物思いをする、雲の果ての夕暮れの空にと詠む。詞書によれば、千五百番歌合での詠である。
 作者の「左衛門督通光」は源通光である。内大臣源通親の子で、のちに太政大臣に至った。
 『古今和歌集』のよみ人しらずの歌「夕暮は雲のはたてにものぞ思ふあまつ空なる人を恋ふとて」を本歌とする。

 初句「眺めわび」は、物思いに沈んで眺めることにも疲れて、の意である。前歌の「眺むる方」を受けて、ながめの一連が続く。
 二句「それとはなしに」は、何ということもなく、の意である。本巻の第千百四首の「ながめはそれと知りながら」の「それと」に対し、ここでは「それとはなしに」と、わけの定まらない物思いとして詠まれる。
 三句「ものぞ思ふ」は、物思いをすることだ、の意で、係助詞「ぞ」を受けて連体形「思ふ」で結ぶ。六音の字余りで、三句切れとなる。本歌の三句をそのまま取っている。
 四句「雲のはたての」は、雲の果ての、の意で、本歌の二句「雲のはたてに」を取る。
 結句「夕暮の空」は、体言止めで結ばれる。本歌では天空にいるような遠い人を恋う物思いであったのを、恋う相手を示さず、夕暮れの空そのものに物思いを漂わせている。

ながめわぶ:物思いに沈んで眺めることにも疲れる
はたて:果て、端
作者
源通光
出典
新古今和歌集
前の歌
言はぬより心や行きてしるべする 眺むる方を人の問ふまで
次の歌
思ひあまりそなたの空を眺むれば 霞を分けて春雨ぞ降る