古典和歌stream

いつまでも命も知らぬ世の中に
つらき嘆きのやまずもあるかな

歌の意味
いつまで続くとも分からない命であるこの世の中で、つらい嘆きがやむこともなく続いていることだ。
鑑賞
巻第十二 恋歌二 1113

詞書「女に遣はしける」
 年月を経ても逢えぬ恋の嘆きを詠む二首の一首目である。いつまで続くか分からない命のこの世の中で、つらい嘆きがやまずにいることだと詠む。詞書によれば、女に贈った歌である。
 作者は藤原義孝で、摂政藤原伊尹の子である。右少将を務めたが、二十一歳で世を去った。

 初句「いつまでも」は、いつまでと、の意で、二句の「命も知らぬ」へ続く。
 二句「命も知らぬ」は、命のほども分からない、の意で、限りある人の命をいう。
 三句「世の中に」は、この世の中で、の意である。
 四句「つらき嘆きの」は、つらい嘆きが、の意で、相手のつれなさによる恋の嘆きをいう。
 結句「やまずもあるかな」は、やむこともないことよ、の意で、「かな」が詠嘆を表す。限りある命と、やむことのない嘆きとが対比され、次歌の年の積もる嘆きへと続く。

よのなか:この世、世間
作者
藤原義孝
出典
新古今和歌集
前の歌
白玉か露かと問はむ人もがな 物思ふ袖をさして答へむ
次の歌
わが恋は千木の片削ぎかたくのみ 行き合はで年の積もりぬるかな