藻塩焼く海人の磯屋の夕煙
立つ名も苦しおもひ絶えなで
- 歌の意味
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藻塩を焼く海人の磯辺の小屋から夕煙が立つように、浮き名が立つのもつらい。思いの火が絶えてしまわないままで。
- 鑑賞
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巻第十二 恋歌二 1116
詞書「夕恋といふことをよみ侍りける」
塩焼く海人に寄せて恋を詠む三首の二首目である。藻塩焼く海人の磯屋の夕煙が立つように浮き名が立つのもつらい、思いの火が絶えないままでと詠む。詞書によれば、「夕恋」を題として詠まれた。
作者は藤原秀能で、後鳥羽院に北面の武士として仕え、歌人として重んじられた。のちに出家して如願と名のった。
初句「藻塩焼く」は、藻塩を焼く、の意で、前歌の「塩焼く海人」を受けて海人の塩焼きが続く。
二句「海人の磯屋の」は、海人の住む磯辺の小屋の、の意である。
三句「夕煙」は、夕方に立つ煙で、題の「夕」がここに詠み込まれる。ここまでが四句の「立つ」を導く序詞となる。本巻の第千八十二首の空にくゆる煙と同じく、塩焼く煙が恋の思いと結ばれる。
四句「立つ名も苦し」は、浮き名が立つのもつらい、の意で、四句切れである。煙が立つことと、噂が立つことが重ねられる。
結句「おもひ絶えなで」の「おもひ」には、恋の「思ひ」と「火」が掛けられ、藻塩焼く、煙と縁語で結ばれる。「絶えなで」は、絶えてしまわないままで、の意で、倒置によって四句へ返り、思いの火が絶えないまま浮き名だけが立つ苦しさを表す。
いそや:海辺の磯に建てた小屋
おもひ:恋の思いの意と、火の意を掛ける
- 作者
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藤原秀能
- 出典
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新古今和歌集
- 前の歌
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いつとなく塩焼く海人の苫庇 久しくなりぬ逢はぬ思ひは
- 次の歌
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須磨の海人の袖に吹きこす潮風の なるとはすれど手にもたまらず