涙川たぎつ心の早き瀬を
しがらみかけて堰く袖ぞなき
- 歌の意味
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涙の川の、激しく沸き立つ心の早瀬を、しがらみをかけて堰き止めるような袖もない。
- 鑑賞
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巻第十二 恋歌二 1120
詞書「百首歌奉りし時」
袖と涙を詠む一連の一首目である。涙の川の、激しく沸き立つ心の早瀬を、しがらみをかけて堰き止める袖もないと詠む。詞書によれば、後鳥羽院に百首歌を奉った折の詠である。
作者は二条院讃岐で、源頼政の娘である。二条天皇に仕え、のち後鳥羽天皇の中宮宜秋門院任子にも仕えた。
初句「涙川」は、涙が川のように流れることをいう。
二句「たぎつ心の」は、激しく沸き立つ心の、の意で、「たぎつ」は水が激しく流れる意である。涙の川の流れに、激しく乱れる恋心が重ねられる。
三句「早き瀬を」は、流れの速い瀬を、の意である。前歌の「瀬々の埋もれ木」の静かに沈む瀬に対し、ここでは激しく流れる早瀬が詠まれる。
四句「しがらみかけて」は、しがらみを設けて、の意である。本巻の第千八十九首の「井手のしがらみ」に続き、あふれる思いを堰くものとしてしがらみが詠まれる。
結句「堰く袖ぞなき」は、係助詞「ぞ」を受けて連体形「なき」で結ぶ係り結びである。本巻の第千九十八首では流れる水を袖に堰いたが、ここではその袖さえなく、涙が堰き止められないほどの激しさを示す。
たぎつ:水が激しく流れる、心が激しく乱れる
しがらみ:川の流れをせき止めるために、杭を打ち並べて竹や柴を絡ませたもの
せく:流れをせき止める
- 作者
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二条院讃岐
- 出典
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新古今和歌集
- 前の歌
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嘆かずよ今はた同じなとり川 瀬々の埋もれ木朽ち果てぬとも
- 次の歌
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よそながらあやしとだにも思へかし 恋せぬ人の袖の色かは