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よそながらあやしとだにも思へかし
恋せぬ人の袖の色かは

歌の意味
離れたところからでも、せめて変だとだけでも思ってほしい。これが恋をしていない人の袖の色であろうか、いやそうではない。
鑑賞
巻第十二 恋歌二 1121

詞書「摂政太政大臣、百首歌よませ侍りけるに」
 袖と涙を詠む一連の二首目である。よそながらでも、せめて怪しいとだけでも思ってほしい、これが恋をしない人の袖の色であろうかと詠む。詞書によれば、摂政太政大臣藤原良経が人々に百首歌を詠ませた折の詠である。
 作者は高松院右衛門佐で、鳥羽天皇の皇女で二条天皇の中宮となった高松院姝子内親王に仕えた女房である。

 初句「よそながら」は、関わりのない離れた立場のままで、の意で、恋の相手が遠くにいることをいう。
 二句「あやしとだにも」は、せめて変だとだけでも、の意で、「だに」は最小限の願いを表す。
 三句「思へかし」は、思ってほしい、の意で、命令形に念を押す「かし」が付く。三句切れである。
 四句「恋せぬ人の」は、恋をしない人の、の意である。
 結句「袖の色かは」は、袖の色であろうか、いやそうではない、の意で、「かは」は反語を表す。涙に色の変わった袖を示して、恋のしるしに気づいてほしいと訴える。前歌の涙を堰く袖を受け、ここでは涙に染まった袖の色が詠まれる。

よそ:自分と関わりのない所、離れた所
作者
高松院右衛門佐
出典
新古今和歌集
前の歌
涙川たぎつ心の早き瀬を しがらみかけて堰く袖ぞなき
次の歌
忍びあまり落つる涙を堰きかへし 押さふる袖よ憂き名漏らすな