紅に涙の色のなりゆくを
いくしほまでと君に問はばや
- 歌の意味
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涙の色が紅に変わってゆくのを、いったい幾度染めたらこれほどになるのかと、あなたに尋ねたいものだ。
- 鑑賞
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巻第十二 恋歌二 1123
詞書「入道前関白太政大臣家歌合に」
袖と涙を詠む一連の四首目である。涙の色が紅に変わってゆくのを、幾度染めればこうなるのかと相手に尋ねたいと詠む。詞書によれば、入道前関白太政大臣の家で催された歌合での詠である。
作者は道因で、呼称の「法師」は僧を指す。俗名は藤原敦頼で、老年に出家した。
詞書の「入道前関白太政大臣」は九条兼実である。
初句「紅に」は、紅の色に、の意である。前歌までの袖の色を受け、恋の涙が紅に染まるさまが詠まれる。
二句「涙の色の」は、涙の色が、の意である。本巻の第千百二十一首の「袖の色」に対し、ここでは涙そのものの色が詠まれる。
三句「なりゆくを」は、変わってゆくのを、の意で、しだいに色の深まるさまを示す。
四句「いくしほまでと」の「しほ」は、布を染め汁に浸す回数をいう語で、何度染めたらこうなるのか、の意となる。涙の色の深まりを、染め重ねる布の色にたとえている。
結句「君に問はばや」は、あなたに尋ねたいものだ、の意で、「ばや」は自己の願望を表す。涙を紅に染めたのは相手のつれなさであるとして、その当人に問いかけようとしている。
しほ:布を染め汁に浸す回数
なりゆく:しだいにそうなってゆく
- 作者
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道因
- 出典
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新古今和歌集
- 前の歌
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忍びあまり落つる涙を堰きかへし 押さふる袖よ憂き名漏らすな
- 次の歌
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夢にても見ゆらんものを嘆きつつ うち寝る宵の袖のけしきは