身に添へるその面影の消えななん
夢なりけりと忘るばかりに
- 歌の意味
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身に寄り添って離れないあの人の面影が、消えてしまってほしい。あれは夢だったのだと忘れてしまえるほどに。
- 鑑賞
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巻第十二 恋歌二 1126
詞書「千五百番歌合に」
夢を詠む一連の三首目である。身に寄り添って離れない面影が消えてほしい、あれは夢だったと忘れてしまえるほどにと詠む。詞書によれば、千五百番歌合での詠である。
作者の「摂政太政大臣」は藤原良経である。関白九条兼実の子で、摂政、太政大臣に至り、『新古今和歌集』の仮名序を書いた。
初句「身に添へる」は、身に寄り添っている、の意で、「る」は存続の助動詞「り」の連体形である。
二句「その面影の」は、あの人の面影が、の意である。
三句「消えななん」は、消えてしまってほしい、の意で、完了の助動詞「ぬ」の未然形「な」に、他に対する願望を表す「なん」が付く。三句切れである。
四句「夢なりけりと」は、前歌の二句と同じ句である。前歌では夢と分かっても名残が惜しいと詠んだのに対し、ここでは現実の逢瀬さえ夢だったと忘れたいと願い、同じ句を用いて反転した心を示している。
結句「忘るばかりに」は、忘れてしまうほどに、の意で、倒置によって三句の願いへ返る。面影に苦しむあまり、逢ったこと自体を夢として忘れたいという心を表している。
おもかげ:目の前にいるかのように心に浮かぶ姿
そふ:寄り添う、離れずにつき従う
- 作者
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藤原良経
- 出典
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新古今和歌集
- 前の歌
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覚めてのち夢なりけりと思ふにも 逢ふは名残の惜しくやはあらぬ
- 次の歌
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夢のうちに逢ふと見えつる寝覚めこそ つれなきよりも袖は濡れけれ