夢のうちに逢ふと見えつる寝覚めこそ
つれなきよりも袖は濡れけれ
- 歌の意味
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夢の中で逢うと見た、その目覚めのときこそ、あの人のつれなさを嘆くときよりも、いっそう袖は涙に濡れるのだ。
- 鑑賞
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巻第十二 恋歌二 1127
詞書「題しらず」
夢を詠む一連の四首目である。夢で逢ったのちの目覚めこそ、相手のつれなさを嘆くときよりも袖が濡れると詠む。詞書は題しらずで、詠まれた事情は記されていない。
作者の「大納言実宗」は藤原実宗である。権大納言藤原公通の子で、大納言を務めた。
初句「夢のうちに」は、夢の中で、の意で、字余りである。夢を詠む一連の結びとして、ふたたび夢の中の逢瀬が詠まれる。
二句「逢ふと見えつる」は、逢うと見た、の意で、「つる」は完了の助動詞「つ」の連体形である。
三句「寝覚めこそ」は、目覚めたときこそ、の意で、係助詞「こそ」が結句の已然形「濡れけれ」と係り結びをなす。本巻の第千百二十五首の「覚めてのち」と同じく、夢から覚めたのちの心が詠まれる。
四句「つれなきよりも」は、相手のつれなさよりも、の意で、比較を表す。現実のつれなさと、夢で逢ったのちの目覚めとが比べられる。
結句「袖は濡れけれ」は、袖が濡れるのだ、の意で、「こそ」を受けて已然形で結ぶ。逢えたと思った夢の喜びが深いほど、目覚めの落胆もまた深いことを示している。
ねざめ:眠りから目が覚めること
つれなし:冷淡である、思いに応えない
- 作者
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藤原実宗
- 出典
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新古今和歌集
- 前の歌
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身に添へるその面影の消えななん 夢なりけりと忘るばかりに
- 次の歌
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頼めおきし浅茅が露に秋かけて 木の葉降りしく宿の通ひ路