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頼めおきし浅茅が露に秋かけて
木の葉降りしく宿の通ひ路

歌の意味
あの人が来ると約束しておいたのに、浅茅に露の置くころから秋にかけて待ち続けるうちに、わが宿への通い路には木の葉が降り敷いてしまった。
鑑賞
巻第十二 恋歌二 1128

詞書「五十首歌奉りしに」
 待つ恋を詠む三首の一首目である。来ると約束しておいたのに、浅茅に露の置くころから秋にかけて待つうちに、宿への通い路は木の葉に埋もれてしまったと詠む。詞書によれば、後鳥羽院に奉った五十首歌のうちの一首である。
 作者の「前大納言忠良」は藤原忠良である。摂政近衛基実の子で、大納言に至った。

 初句「頼めおきし」は、あてにさせておいた、の意で、相手が来訪を約束しておいたことをいう。六音の字余りである。
 二句「浅茅が露に」は、丈の低い茅に置く露に、の意で、荒れた宿のさまと、待つ身の涙とを思わせる。
 三句「秋かけて」は、秋にかけて、の意で、約束の時から秋まで長く待ち続けたことを示す。
 四句「木の葉降りしく」は、木の葉が一面に降り積もる、の意である。本巻の第千八十六首と同じ句で、そちらでは谷水を覆う落ち葉であったのに対し、ここでは訪れる人のない通い路を覆う落ち葉として詠まれる。
 結句「宿の通ひ路」は、わが宿へ通って来る道で、体言止めで結ばれる。木の葉が降り敷いたままの通い路に、相手が一度も訪れなかったことが示されている。

たのむ:あてにさせる、約束する
あさぢ:丈の低い茅
かよひぢ:通って来る道
作者
藤原忠良
出典
新古今和歌集
前の歌
夢のうちに逢ふと見えつる寝覚めこそ つれなきよりも袖は濡れけれ
次の歌
忍びあまり天の川瀬に言寄せん せめては秋を忘れだにすな