頼めても遥けかるべきかへる山
幾重の雲のうちに待つらん
- 歌の意味
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帰って来ると約束してくれても、遥かに遠いにちがいない帰る山よ。幾重にも重なる雲のかなたで、私はいつまで待つことになるのだろう。
- 鑑賞
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巻第十二 恋歌二 1130
詞書「遠き境を待つ恋といへる心を」
待つ恋を詠む三首の三首目である。帰ると約束してくれても遥かに遠い帰る山の、幾重もの雲に隔てられて待つことになるのだろうかと詠む。詞書によれば、「遠き境を待つ恋」、すなわち遠い国にいる人を待つ恋を題として詠まれた。
作者は賀茂重政で、賀茂社に仕えた神官である。
帰る山は越前国(福井県南越前町)の歌枕で、「帰る」を掛けて、旅立つ人の帰りを待つ心とともに詠まれた。
初句「頼めても」は、あてにさせてくれても、約束してくれても、の意である。本巻の第千百二十八首の「頼めおきし」と同じく、相手の約束を頼みに待つ心が詠まれる。
二句「遥けかるべき」は、遥かに遠いにちがいない、の意で、「べき」は推量を表す。題の「遠き境」を示す。
三句「かへる山」の「かへる」には、相手が「帰る」意と、地名の「帰る山」が掛けられている。
四句「幾重の雲の」は、幾重にも重なる雲の、の意で、都と遠い国とを隔てる雲をいう。
結句「うちに待つらん」は、その雲の中で待つのだろうか、の意で、「らん」は推量を表す。前歌の年に一度の逢瀬に対し、ここでは帰る時さえ見えない遠い隔たりの中で待つ恋として、待つ恋の三首を結んでいる。
かへるやま:「帰る」の意と、越前国の歌枕の帰る山を掛ける
はるけし:遠く隔たっている
- 作者
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賀茂重政
- 出典
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新古今和歌集
- 前の歌
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忍びあまり天の川瀬に言寄せん せめては秋を忘れだにすな
- 次の歌
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逢ふことはいつといぶきの峰に生ふる さしも絶えせぬおもひなりけり