富士の嶺の煙もなほぞ立ちのぼる
上なきものはおもひなりけり
- 歌の意味
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富士の嶺の煙も、なお高く立ちのぼっている。けれどもそれよりさらに上がなく、この上ないものは、私の恋の思いの火であった。
- 鑑賞
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巻第十二 恋歌二 1132
詞書は前の歌に続き「摂政太政大臣家百首歌合に」
燃える思いを山に寄せて詠む二首の二首目である。富士の嶺の煙も高く立ちのぼるが、それにもまさってこの上ないのは恋の思いの火であると詠む。詞書は前歌から続き、摂政太政大臣藤原良経の家の百首歌合での詠である。
作者の「家隆朝臣」は藤原家隆である。権中納言藤原光隆の子で、藤原俊成に和歌を学び、『新古今和歌集』の撰者の一人となった。
富士山は駿河国の歌枕で、当時は煙を上げており、恋の思いの火の煙にたとえて詠まれた。
初句「富士の嶺の」は、富士山の頂の、の意である。前歌の伊吹の峰に続き、山に恋の火が寄せられる。
二句「煙もなほぞ」は、煙もなお、の意で、係助詞「ぞ」が三句の連体形「立ちのぼる」と係り結びをなす。
三句「立ちのぼる」は、高く立ちのぼっている、の意で、三句切れである。
四句「上なきものは」は、それより上がないものは、の意で、富士の煙より高いという意と、この上ないという意を兼ねる。高く立ちのぼる煙を引き合いに、恋の思いがさらにまさることを示す。
結句「おもひなりけり」の「おもひ」には、恋の「思ひ」と「火」が掛けられ、煙と縁語で結ばれる。前歌と同じ結句で、伊吹のさしも草の火に対し、ここでは富士の煙を上回る火として、燃える思いの二首が結ばれている。
おもひ:恋の思いの意と、火の意を掛ける
- 作者
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藤原家隆
- 出典
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新古今和歌集
- 前の歌
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逢ふことはいつといぶきの峰に生ふる さしも絶えせぬおもひなりけり
- 次の歌
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なき名のみたつたの山に立つ雲の ゆくへも知らぬ眺めをぞする