古典和歌stream

わが恋は逢ふを限りの頼みだに
ゆくへも知らぬ空のうき雲

歌の意味
私の恋は、逢うことだけを最後の頼みとしているのに、その頼みさえ、行方も知れない空の憂き雲のようにはかない。
鑑賞
巻第十二 恋歌二 1135

詞書は前の歌に続き「百首歌の中に、恋の心を」
 雲に寄せて恋を詠む三首の三首目である。逢うことを最後の頼みとするその頼みさえ、行方も知れない空の憂き雲のようだと詠む。詞書は前歌から続き、百首歌のうち、恋の心を詠んだ歌である。
 作者の「右衛門督通具」は源通具である。内大臣源通親の子で、『新古今和歌集』の撰者の一人となった。

 初句「わが恋は」は、私の恋は、の意である。本巻の第千百十四首も同じ初句で、恋のありさまをたとえで示していた。
 二句「逢ふを限りの」は、逢うことを最後の望みとする、の意である。
 三句「頼みだに」は、その頼みさえ、の意で、「だに」は軽いものを挙げて重いものを推し量らせる。
 四句「ゆくへも知らぬ」は、本巻の第千百三十三首の四句と同じ句である。竜田山に立つ雲の行方に始まった雲の三首が、同じ句によって結ばれる。
 結句「空のうき雲」の「うき」には、空に「浮き」の意と、「憂き」の意が掛けられ、体言止めで結ばれる。前歌と同じ「うき雲」を結句に置き、恋の頼みさえ漂う雲のようにはかないことを示す。巻頭の第千八十一首が跡なき雲に恋の果てを悲しんだのと響き合い、雲に寄せて恋の行方の定まらなさを詠んでいる。

うきぐも:空に浮かぶ雲の意と、憂き雲の意を掛ける
たのみ:あてにすること、望み
作者
源通具
出典
新古今和歌集
前の歌
逢ふことのむなしき空のうき雲は 身を知る雨のたよりなりけり
次の歌
面影のかすめる月ぞ宿りける 春や昔の袖の涙に