袖の上に誰ゆゑ月は宿るぞと
よそになしても人の問へかし
- 歌の意味
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袖の上に、誰のせいで月が宿っているのかと、よそごととしてでもよいから、あの人が尋ねてくれればよいのに。
- 鑑賞
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巻第十二 恋歌二 1139
詞書「宇治にて、夜恋といふことを、をのこどもつかうまつりしに」
月を詠む二首の二首目である。涙に濡れた袖の上に月が宿るのは誰のせいかと、よそごととしてでも相手に尋ねてほしいと詠む。詞書によれば、宇治で男たちが「夜恋」の題で歌を詠み奉った折の詠である。
作者は藤原秀能で、後鳥羽院に北面の武士として仕え、歌人として重んじられた。のちに出家して如願と名のった。
宇治は山城国(京都府宇治市)の歌枕で、宇治川や網代、橋姫とともに詠まれた。
初句「袖の上に」は、袖の上に、の意で、前歌の有明の月を受けて、涙に濡れた袖に映る月が詠まれる。
二句「誰ゆゑ月は」は、誰のせいで月は、の意である。
三句「宿るぞと」は、宿っているのかと、の意で、涙に濡れた袖に月が映るのは誰のためかという問いの形をとる。本巻の第千百三十六首も袖の涙に宿る月を詠み、同じ趣向が重ねられる。
四句「よそになしても」は、よそごとにしてでも、の意で、自分に関わりのないこととしてでも、という。
結句「人の問へかし」は、あの人が尋ねてくれればよいのに、の意で、命令形に念を押す「かし」が付く。本巻の第千百二十一首の「よそながらあやしとだにも思へかし」と同じく、よそからでも気づいてほしいと「かし」で訴えている。
よそ:自分と関わりのないこと
をのこ:男、ここでは院に仕える男たち
- 作者
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藤原秀能
- 出典
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新古今和歌集
- 前の歌
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つれなさのたぐひまでやはつらからぬ 月をもめでじ有明の空
- 次の歌
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夏引の手引きの糸の年経ても 絶えぬ思ひに結ぼほれつつ