夏引の手引きの糸の年経ても
絶えぬ思ひに結ぼほれつつ
- 歌の意味
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夏に手で引いて紡ぐ糸が長く続くように、年を経ても絶えることのない思いに、心は結ぼれて晴れないでいる。
- 鑑賞
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巻第十二 恋歌二 1140
詞書「久しき恋といへることを」
年を経る恋と祈りを詠む三首の一首目である。夏に手で紡ぐ糸のように、年を経ても絶えない思いに心が結ぼれて晴れないと詠む。詞書によれば、「久しき恋」を題として詠まれた。
作者の「越前」は女房の呼び名で、どの人物を指すかについて定説を見ない。
初句「夏引の」は、夏に糸を紡ぐこと、またその糸をいう。
二句「手引きの糸の」は、手で引いて紡ぐ糸の、の意で、ここまでが四句と結句の「絶え」「結ぼほれ」を導く序詞となる。
三句「年経ても」は、年を経ても、の意で、題の「久しき恋」を示す。
四句「絶えぬ思ひに」は、絶えることのない思いに、の意で、糸の縁語の「絶え」を用いる。
結句「結ぼほれつつ」は、心が結ぼれて晴れないでいる、の意で、糸の縁語の「結ぼほる」を用いる。「つつ」で止めて、長く続く恋の晴れない思いを余韻に残す。本巻の第千九十六首の栲縄と同じく、長く延びる糸や縄に、絶えることのない恋が託されている。
なつびき:夏に糸を紡ぐこと
むすぼほる:糸がもつれて結ばれる、心がふさいで晴れない
- 作者
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越前
- 出典
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新古今和歌集
- 前の歌
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袖の上に誰ゆゑ月は宿るぞと よそになしても人の問へかし
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幾夜われ波にしほれて貴船川 袖に玉散る物思ふらん