憂き身をば我だに厭ふ厭へただ
そをだに同じ心と思はん
- 歌の意味
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このつらい身を、私自身でさえ厭っている。あなたもただ厭うがよい。せめてそれだけでも、あなたと同じ心だと思おう。
- 鑑賞
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巻第十二 恋歌二 1143
詞書「片思ひの心をよめる」
片思いの果てにわが身と命を思う一連の一首目である。つらいこの身を自分でさえ厭うのだから、あなたも厭うがよい、それだけでも同じ心だと思おうと詠む。詞書によれば、「片思ひ」の心を詠んだ歌である。
作者の「皇太后宮大夫俊成」は藤原俊成である。権中納言藤原俊忠の子で、後白河院の命により『千載和歌集』を撰進した。藤原定家の父である。
初句「憂き身をば」は、つらいこの身を、の意である。
二句「我だに厭ふ」は、私自身でさえ厭う、の意で、「だに」は、自分でさえ、の意を示す。二句切れである。
三句「厭へただ」は、あなたもひたすら厭うがよい、の意で、命令形で三句切れとなる。二句の「厭ふ」を三句で「厭へ」と重ね、自分と相手を同じ語で結ぶ。
四句「そをだに同じ」は、せめてそれだけでも同じ、の意で、「そ」は相手が私を厭うことを指す。
結句「心と思はん」は、同じ心であると思おう、の意で、「ん」は意志を表す。相手に厭われることさえ、自分と同じ心であると思おうとする片思いの極みを示し、巻末へと続く一連の始まりとなっている。
うきみ:つらいことの多い身
いとふ:嫌う、避ける
- 作者
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藤原俊成
- 出典
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新古今和歌集
- 前の歌
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年も経ぬ祈る契りは初瀬山 尾上の鐘のよその夕暮
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恋ひ死なん同じ憂き名をいかにして 逢ふにかへつと人に言はれん