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恋ひ死なん同じ憂き名をいかにして
逢ふにかへつと人に言はれん

歌の意味
このままでは恋い死にしてしまうだろう。どうせ同じく浮き名が立つのなら、どうにかして、逢うことと命を引き替えにしたのだと人に言われたいものだ。
鑑賞
巻第十二 恋歌二 1144

詞書「題しらず」
 片思いの果てにわが身と命を思う一連の二首目である。恋い死にすれば同じく浮き名が立つのだから、どうにかして、逢うことと命を引き替えたと人に言われたいと詠む。詞書は題しらずで、詠まれた事情は記されていない。
 作者の「権中納言長方」は藤原長方である。権中納言藤原顕長の子で、権中納言に至った。

 初句「恋ひ死なん」は、恋い死にするだろう、の意で、「なん」は完了の「ぬ」に推量の「む」が付いた形である。初句切れで、前歌の身を厭う心から、死を予感する心へと進む。
 二句「同じ憂き名を」は、どうせ同じ浮き名であるのを、の意で、恋い死にしても浮き名が立つことは同じだとする。
 三句「いかにして」は、どうにかして、の意である。
 四句「逢ふにかへつと」は、逢うことと命を引き替えにしたと、の意で、「つ」は完了を表す。本巻の第千百四十六首も「身をやかへてん」と、恋と身を引き替える「かふ」の語を用いる。
 結句「人に言はれん」は、人に言われたい、の意で、「ん」は意志や願望を表す。同じく浮き名が立つなら、逢えずに死んだと言われるより、逢って死んだと言われたいという願いである。

うきな:恋についての好ましくない評判
かふ:引き替える
作者
藤原長方
出典
新古今和歌集
前の歌
憂き身をば我だに厭ふ厭へただ そをだに同じ心と思はん
次の歌
明日知らぬ命をぞ思ふおのづから あらば逢ふ夜を待つにつけても