つれもなき人の心は空蝉の
むなしき恋に身をやかへてん
- 歌の意味
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つれないあの人の心は変わらない。私は蝉の抜け殻のようにむなしい恋に、この身を引き替えてしまうのだろうか。
- 鑑賞
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巻第十二 恋歌二 1146
詞書は前の歌に続き「題しらず」
片思いの果てにわが身と命を思う一連の四首目である。つれない人の心は変わらず、蝉の抜け殻のようにむなしい恋にこの身を引き替えてしまうのかと詠む。詞書は前歌から続いて題しらずである。
作者は八条院高倉で、鳥羽天皇の皇女八条院暲子内親王に仕えた女房である。
初句「つれもなき」は、冷淡な、思いに応えない、の意である。
二句「人の心は」は、あの人の心は、の意で、変わることのないつれなさを示す。二句で言いさして、以下の嘆きへ転じる。
三句「空蝉の」は、「むなしき」にかかる枕詞である。蝉の抜け殻の空しさが、四句の「むなしき恋」を導く。
四句「むなしき恋に」は、むなしい恋に、の意である。本巻の第千百三十四首の「むなしき空」に続き、「むなしき」の語で逢えぬ恋のはかなさが詠まれる。
結句「身をやかへてん」は、この身を引き替えてしまうのだろうか、の意で、係助詞「や」を受けて「てん」の連体形で結ぶ。本巻の第千百四十四首の「逢ふにかへつ」が逢瀬と命を引き替えることを願ったのに対し、ここではむなしい恋のために身を捨てることになるかと嘆き、同じ「かふ」の語で対をなしている。
うつせみ:蝉の抜け殻、転じてはかないもの
かふ:引き替える
- 作者
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八条院高倉
- 出典
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新古今和歌集
- 前の歌
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明日知らぬ命をぞ思ふおのづから あらば逢ふ夜を待つにつけても
- 次の歌
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何となくさすがに惜しき命かな あり経ば人や思ひ知るとて