- 歌の意味
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人の心は薄花染めの狩衣のように薄いものだが、せめてその薄いままでさえいないで、色が変わるように心変わりしてしまうのだろうか。
- 鑑賞
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巻第十三 恋歌三 1156
詞書は前の歌に続き「題しらず」
逢ったのちの嘆きを詠む一連の一首目である。人の心は薄花染めの狩衣のように薄いが、せめてそのままでいることもなく、色が褪せるように変わってしまうのだろうかと詠む。詞書は前の歌に続いて題しらずで、詠まれた事情は記されていない。
作者の「三条院女蔵人左近」は、三条天皇に仕えた女蔵人で、左近と呼ばれた女房である。平安時代中期の人である。
なお原文の四句「さてだにあらで」には「て=はイ」、すなわち異本では「あらで」を「あらば」とする旨の注記がある。ここでは本文の「あらで」を採った。
初句「人心」は、人の心、の意である。前歌までが自らの命や心を詠んだのに対し、本歌は相手の心に目を向ける。
二句「うす花染めの」の「うす」は、人の心が薄い意と、薄花染めの薄を掛ける掛詞である。薄花染めは薄い藍色に染めたもので、色の移ろいやすいものとして詠まれる。
三句「狩衣」は、もと狩りのときに着た衣で、貴族の平服である。上の句全体で、人の心を薄く染めた衣にたとえている。
四句「さてだにあらで」は、せめてそのままでさえいないで、の意である。薄いままでもよいのに、それさえ保たれないという嘆きである。
結句「色や変はらん」は、色が変わるのだろうか、の意で、係助詞「や」が「らん」と係り結びをなす。衣の色が褪せることに心変わりを重ね、染め、衣、色が縁語として連なっている。
うす:人の心が薄い意と、薄花染めの薄を掛ける
はなぞめ:縹色、すなわち薄い藍色に染めること
かりころも:狩衣。貴族の平服で、もと狩りのときに着た衣
- 作者
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三条院女蔵人左近
- 出典
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新古今和歌集
- 前の歌
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逢ふまでの命もがなと思ひしは 悔しかりける我が心かな
- 次の歌
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逢ひ見ても甲斐なかりけりうばたまの はかなき夢に劣るうつつは