枕だに知らねば言はじ見しままに
君語るなよ春の夜の夢
- 歌の意味
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枕さえ知らないのだから、私は言うまい。見たままに、あなたも人に語らないでほしい。春の夜の夢のようにはかない、二人の逢瀬を。
- 鑑賞
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巻第十三 恋歌三 1160
詞書「題しらず」
逢瀬を夢にたとえて詠む一連の二首目である。枕さえ知らないのだから私は言うまい、あなたも見たままに語るなよ、春の夜の夢のようなはかない逢瀬を、と詠む。詞書は題しらずで、詠まれた事情は記されていない。
作者の「和泉式部」は、越前守大江雅致の娘である。和泉守橘道貞の妻となったことからこの名で呼ばれ、のちに一条天皇の中宮彰子に仕えた。
初句「枕だに」は、前歌の結句「枕だにせず」の語をそのまま受ける。前歌が枕さえしないと言ったのに対し、本歌は枕さえ知らないと応じる形になっている。
二句「知らねば言はじ」は、知らないのだから言うまい、の意である。前歌の三句「知るといへば」の「知る」を「知らねば」と打ち消して受けている。「じ」は打消意志の助動詞で、二句切れとなる。
三句「見しままに」は、見たままに、の意である。夢を見たことと、逢瀬を共にしたことの両方に通じる言い方である。
四句「君語るなよ」は、あなたは語るなよ、の意である。前歌の「人に語るな」を受け、「よ」を添えて相手への呼びかけを強めている。
結句「春の夜の夢」は体言止めで、短く明けやすい春の夜の夢に、逢瀬のはかなさを重ねる。口止めの対象を最後に示す倒置となっている。
はるのよのゆめ:短い春の夜に見る夢。はかないもののたとえ
- 作者
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和泉式部
- 出典
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新古今和歌集
- 前の歌
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夢とても人に語るな知るといへば 手枕ならぬ枕だにせず
- 次の歌
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忘れても人に語るなうたた寝の 夢見て後も長からじ世を