忘れても人に語るなうたた寝の
夢見て後も長からじ世を
- 歌の意味
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たとえ私を忘れることがあっても、人には語らないでほしい。うたた寝の夢を見たようなはかない逢瀬の後も、長くは続かないであろう二人の仲なのだから。
- 鑑賞
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巻第十三 恋歌三 1161
詞書「人にもの言ひはじめて」
逢瀬を夢にたとえて詠む一連の三首目である。たとえ忘れても人に語ってくれるな、うたた寝の夢を見たような逢瀬の後も、長くは続かないであろう仲なのだから、と詠む。詞書によれば、ある人と言葉を交わし始めたころの歌である。
作者の「馬内侍」は、平安時代中期の女房である。中古三十六歌仙の一人に数えられる。
初句「忘れても」は、たとえ忘れても、の意である。自分のことを忘れることがあっても、という前置きで、相手の心変わりをあらかじめ見越している。
二句「人に語るな」は、本巻の第千百五十九首と同じ句であり、前歌の「君語るなよ」とも響き合う。「な」は禁止の終助詞で、二句切れとなる。
三句「うたた寝の」は、仮寝の、の意で、次の「夢」にかかる。
四句「夢見て後も」は、夢を見たあとも、の意である。逢瀬をうたた寝の短い夢にたとえ、前歌の「春の夜の夢」と同じく、そのはかなさを示す。
結句「長からじ世を」は、長くは続かないであろう二人の仲なのに、の意である。「じ」は打消推量の助動詞で、「世」は男女の仲をいう。はかない仲だからこそ、せめて口外しないでほしいという願いで結ばれる。
ものいふ:異性と言葉を交わす。言い寄る
うたたね:仮寝。うとうとと眠ること
よ:男女の仲
- 作者
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馬内侍
- 出典
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新古今和歌集
- 前の歌
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枕だに知らねば言はじ見しままに 君語るなよ春の夜の夢
- 次の歌
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辛かりし多くの年は忘られて 一夜の夢をあはれとぞ見し