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今朝よりはいとどおもひを焚きまして
なげき樵り積むあふさかの山

歌の意味
逢った今朝からは、いっそう恋の思いの火を焚き増して、嘆きという投げ木を伐っては積み重ねる、逢坂の山であることよ。
鑑賞
巻第十三 恋歌三 1163

詞書「題しらず」
 初めて逢ったのちの思いを詠む一連の一首目である。逢った今朝からはいっそう恋の思いの火を焚き増して、嘆きという投げ木を伐り積む逢坂の山であることよ、と詠む。詞書は題しらずで、詠まれた事情は記されていない。
 作者の「高倉院」は高倉天皇である。後白河天皇の皇子で、母は建春門院平滋子である。平清盛の娘徳子を中宮とし、安徳天皇の父となった。
 逢坂の山は近江国と山城国の境にある歌枕で、逢坂の関が置かれた。「逢ふ」を掛けて恋の歌に多く詠まれる。

 初句「今朝よりは」は、逢った今朝からは、の意である。前歌の「一夜の夢」を受け、逢瀬の翌朝へと時が移る。
 二句「いとどおもひを」の「おもひ」は、恋の思いの意と、火の意を掛ける掛詞である。「いとど」は、いっそう、の意である。
 三句「焚きまして」は、焚き増して、の意で、二句の「火」を受ける縁語である。逢ったことでかえって恋の思いが燃え募るさまを示す。
 四句「なげき樵り積む」の「なげき」は、嘆きの意と、薪とする投げ木の意を掛ける掛詞である。「樵り積む」は木を伐って積み重ねることで、火、焚く、投げ木、樵る、山が縁語として連なる。
 結句「あふさかの山」の「あふさか」は、地名の逢坂に「逢ふ」を掛ける掛詞である。逢った喜びを名に持つ山に、かえって嘆きを積み重ねるという逆説を、体言止めで示して結ぶ。

おもひ:恋の思いの意と、火の意を掛ける
なげき:嘆きの意と、薪とする投げ木の意を掛ける
こりつむ:木を伐って積み重ねる
あふさか:地名の逢坂に、逢ふの意を掛ける
作者
高倉天皇
出典
新古今和歌集
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辛かりし多くの年は忘られて 一夜の夢をあはれとぞ見し
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