いかにせん葛の裏吹く秋風に
下葉の露の隠れなき身を
- 歌の意味
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どうしたらよいのだろう。葛の葉裏を吹き返す秋風に、下葉の露が隠れようもなく現れるように、隠れようもなく人に知られてしまったこの身を。
- 鑑賞
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巻第十三 恋歌三 1166
詞書「人知れず忍びけることを、文など散らすと聞きける人に遣はしける」
逢瀬が人に知られることを恐れる一連の二首目である。葛の葉裏を吹き返す秋風に下葉の露が隠れようもなく現れるように、隠れようもなく人に知られてしまった身をどうしたらよいだろうと詠む。詞書によれば、人知れず忍んでいた恋を、手紙などを人に見せて言い広めていると聞いた相手に贈った歌である。
作者の「相模」は、相模守大江公資の妻となったことからこの名で呼ばれた女房である。のちに一条天皇の皇女脩子内親王に仕えた。
初句「いかにせん」は、どうしたらよいだろう、の意で、初句切れとなる。途方に暮れる嘆きを冒頭に置き、その対象を結句の「身を」で示す倒置の構成である。
二句「葛の裏吹く」は、葛の葉の裏を吹く、の意である。葛の葉は風に吹かれると白い葉裏を見せることから、隠していたものがあらわになるさまを示す。
三句「秋風に」は、葉を吹き返す風であり、秘密を吹き散らす人の噂になぞらえられている。
四句「下葉の露の」は、葛の下葉に置く露の、の意である。人目につかない下葉の露に、人知れず流してきた涙と忍ぶ恋が重ねられる。上の句からここまでが、露があらわになるさまを通して結句を導く。
結句「隠れなき身を」は、隠れようもない我が身を、の意である。前歌が「人に語るな」と口止めしたのに対し、本歌はすでに知られてしまった後の嘆きを詠み、口止めの願いが破れた場面へと進んでいる。
ふみ:手紙
ちらす:人に見せて言い広める
したば:草木の下のほうの葉
- 作者
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相模
- 出典
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新古今和歌集
- 前の歌
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かりそめにふしみの野辺の草枕 露かかりきと人に語るな
- 次の歌
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あけがたき二見の浦による波の 袖のみ濡れておきつ島人