はかなくも明けにけるかな朝露の
おきての後ぞ消えまさりける
- 歌の意味
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あっけなく夜が明けてしまったことだ。朝露が置くように起きて別れたその後こそ、露が消えるように、いっそう消え入る思いがすることだ。
- 鑑賞
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巻第十三 恋歌三 1171
詞書「近江更衣に賜はせける」
夜明けの別れを詠む一連の五首目である。はかなくも夜が明けてしまった、朝露が置くように起きて別れた後こそ、露が消えるようにいっそう消え入る思いがする、と詠む。詞書によれば近江更衣に贈った後朝の歌で、次歌がその返歌である。近江更衣は次歌の作者である源周子を指す。
作者の「延喜」は醍醐天皇である。延喜は醍醐天皇の治世の年号で、その御代の帝としてこう呼ばれる。宇多天皇の皇子である。
初句「はかなくも」は、あっけなくも、の意である。逢瀬の夜の短さを嘆く。
二句「明けにけるかな」は、明けてしまったことよ、の意で、詠嘆の「かな」で二句切れとなる。前の一連の歌が逢えぬまま明ける夜を詠んだのに対し、本歌は逢瀬ののちに明ける夜を詠む。
三句「朝露の」は、朝の露が、の意で、四句の「おき」を導く。
四句「おきての後ぞ」の「おき」は、露が置く意と、寝床から起きる意を掛ける掛詞である。係助詞「ぞ」が結句の「ける」と係り結びをなす。
結句「消えまさりける」は、いっそう消え入る思いがすることだ、の意である。露が消えることに、別れの後に身も消え入るような思いを重ね、露、置く、消ゆが縁語として連なる。前歌の「消えぬべきかな」の「消ゆ」を受け、ここから露と消える身を詠む歌が続く。
かうい:女御に次ぐ天皇の后妃
おく:露が置く意と、寝床から起きる意を掛ける
- 作者
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醍醐天皇
- 出典
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新古今和歌集
- 前の歌
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心にもあらぬ我が身の行き帰り 道の空にて消えぬべきかな
- 次の歌
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朝露のおきつる空も思ほえず 消えかへりつる心惑ひに