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置き添ふる露やいかなる露ならん
今は消えねと思ふ我が身を

歌の意味
今はもう消えてしまえと思っている我が身に、さらに置き添える露は、いったいどういう露なのだろうか。
鑑賞
巻第十三 恋歌三 1173

詞書「題しらず」
 夜明けの別れを詠む一連の七首目である。今はもう消えてしまえと思う我が身に、さらに置き添える露はいったいどういう露なのだろうと詠む。詞書は題しらずで、詠まれた事情は記されていない。
 作者の「円融院」は円融天皇である。村上天皇の皇子で、一条天皇の父である。

 初句「置き添ふる」は、さらに置き加える、の意である。前歌までの露の歌を受け、我が身に露が重ねて置かれるさまを詠む。
 二句「露やいかなる」は、露はどういう、の意である。係助詞「や」が三句の「らん」と係り結びをなす。
 三句「露ならん」は、露なのだろうか、の意である。二句と三句で「露」を重ね、問いかけの形で三句切れとなる。その露は涙の露であることを言外に示している。
 四句「今は消えねと」は、今はもう消えてしまえと、の意である。「ね」は完了の助動詞「ぬ」の命令形で、我が身に向かって消えよと命じる激しい表現である。
 結句「思ふ我が身を」は、思っている我が身に、の意である。前の二首が消え入る思いを露にたとえたのに対し、本歌は消えてしまいたい身になお露が置き添えられると、露と身の関係を裏返している。

おきそふ:さらに置き加える
作者
円融天皇
出典
新古今和歌集
前の歌
朝露のおきつる空も思ほえず 消えかへりつる心惑ひに
次の歌
思ひ出でて今は消ぬべし夜もすがら おき憂かりつる菊の上の露