わびつつも君が心にかなふとて
今朝も袂を干しぞわづらふ
- 歌の意味
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つらく思いながらも、あなたの心にかなうようにと人目を忍んでいるので、今朝も涙に濡れた袂を干しかねていることだ。
- 鑑賞
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巻第十三 恋歌三 1180
詞書「忍びたる所より帰りて、朝に遣はしける」
後朝の思いを詠む一連の四首目である。つらく思いながらも、あなたの心にかなうようにと、今朝も涙に濡れた袂を干しかねていると詠む。詞書によれば、人目を忍んで通う女のもとから帰った翌朝に贈った後朝の歌である。
作者の「九条入道右大臣」は藤原師輔である。関白藤原忠平の次男で、右大臣に至り、九条流の祖となった。晩年に出家したため入道と呼ばれる。
初句「わびつつも」は、つらく思いながらも、の意である。「つつ」は継続を表し、忍ぶ恋の苦しみが続いていることを示す。
二句「君が心に」は、あなたの心に、の意である。前歌の「心から」が自らの心であったのに対し、本歌は相手の心に従うことをいう。
三句「かなふとて」は、かなうようにと、の意である。人目を忍んでほしいという相手の望みに従っていることを示す。
四句「今朝も袂を」は、今朝も袂を、の意である。「も」によって、このような朝がいく度も重なっていることが示される。
結句「干しぞわづらふ」は、干しかねている、の意で、係助詞「ぞ」が連体形「わづらふ」と係り結びをなす。涙に濡れた袂が乾かないことで、忍ぶ恋の後朝のつらさを示している。
わぶ:つらく思う。思い嘆く
かなふ:望みにかなう。従う
わづらふ:なかなかできずに苦しむ
- 作者
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藤原師輔
- 出典
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新古今和歌集
- 前の歌
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心からしばしと包むものからに 鴫の羽掻きつらき今朝かな
- 次の歌
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手枕に貸せる袂の露けきは 明けぬと告ぐる涙なりけり