聞くやいかにうはの空なる風だにも
まつに音する習ひありとは
- 歌の意味
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聞いているか、どうか。上の空を吹く気まぐれな風でさえも、松には音を立てて訪れる習いがあるということを。まして待つ人のもとへは訪れるべきなのに。
- 鑑賞
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巻第十三 恋歌三 1199
詞書「寄風恋」
来ぬ人を待つ夜を詠む一連の三首目である。上の空を吹く気まぐれな風でさえ松には音を立てて訪れる習いがあるのを、あなたは聞いているかと詠み、待つ人のもとを訪れない相手を責める。詞書によれば、風に寄せる恋という題で詠まれた題詠の歌である。
作者の「宮内卿」は、右京権大夫源師光の娘で、後鳥羽院に仕えた女房である。若くして没した。
初句「聞くやいかに」は、聞いているか、どうか、の意で、六音の字余りである。相手に直接問いかける強い口調で歌い起こす。
二句「うはの空なる」の「うはの空」は、空の上の意と、心が浮ついて定まらない意を掛ける掛詞である。空を吹く風と、誠意のない相手の心が重ねられる。
三句「風だにも」は、風でさえも、の意である。「だに」は軽いものを挙げて重いものを類推させる。前歌の月に代わって、ここからは風が詠まれる。
四句「まつに音する」の「まつ」は、松の意と、待つの意を掛ける掛詞である。「音す」は音を立てる意と、訪れる意をもち、松に音を立てる風が、待つ人を訪れることに通じる。
結句「習ひありとは」は、習いがあるということを、の意である。初句の「聞くや」の目的語を倒置して結句に置き、気まぐれな風でさえ訪れるのに、なぜあなたは来ないのかという恨みを理屈で差し向けている。
うはのそら:空の上の意と、心が浮ついて定まらない意を掛ける
まつ:松の意と、待つの意を掛ける
おとす:音を立てる。訪れる
- 作者
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宮内卿
- 出典
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新古今和歌集
- 前の歌
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何ゆゑと思ひも入れぬ夕べだに 待ち出でしものを山の端の月
- 次の歌
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人は来で風のけしきも更けぬるに あはれに雁のおとづれてゆく