人は来で風のけしきも更けぬるに
あはれに雁のおとづれてゆく
- 歌の意味
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待つ人は来ないで、風の気配もすっかり夜更けらしくなったのに、しみじみと心に染みるように、雁が鳴き声を立てて訪れてゆく。
- 鑑賞
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巻第十三 恋歌三 1200
詞書「題しらず」
来ぬ人を待つ夜を詠む一連の四首目である。待つ人は来ないで風の気配も夜更けらしくなったのに、雁だけがしみじみと鳴いて訪れてゆくと詠む。詞書は題しらずで、詠まれた事情は記されていない。
作者の「西行法師」は、俗名を佐藤義清といい、鳥羽院の北面の武士であったが、若くして出家した歌僧である。諸国を旅して多くの歌を残した。
初句「人は来で」は、人は来ないで、の意である。「で」は打消の接続助詞で、待つ人の来ないことをまず示す。
二句「風のけしきも」は、風の様子も、の意である。前歌の風を受け、風によって夜の深まりを感じ取っている。
三句「更けぬるに」は、更けてしまったのに、の意である。「に」は逆接で、下の句の雁の訪れへと続く。
四句「あはれに雁の」は、しみじみと心に染みるように雁が、の意である。
結句「おとづれてゆく」は、鳴き声を立てて訪れてゆく、の意である。「おとづる」は音を立てる意と訪れる意をもつ語で、前歌の「音する」と同じく、人の代わりに訪れるものを詠む。人は来ないのに雁だけが訪れて過ぎてゆくという対比に、待つ者の寂しさが深まっている。
けしき:様子。気配
おとづる:音を立てる。訪れる
- 作者
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西行
- 出典
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新古今和歌集
- 前の歌
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聞くやいかにうはの空なる風だにも まつに音する習ひありとは
- 次の歌
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いかが吹く身にしむ色の変はるかな 頼むる暮れのまつ風の声