頼めぬに君来やと待つ宵の間の
更けゆかでただ明けなましかば
- 歌の意味
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約束もしていないのに、あなたが来るだろうかと待つ宵のうちが、更けてゆかずに、そのまま明けてしまったならよかったのに。
- 鑑賞
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巻第十三 恋歌三 1205
詞書「恋歌とて詠める」
来ぬ人を待つ夜を詠む一連の九首目である。約束もしていないのに来るかと待つ宵のうちが、更けてゆかずにそのまま明けてしまえばよかったのに、と詠む。詞書によれば、恋の歌として詠まれた。
作者の「西行法師」は、俗名を佐藤義清といい、鳥羽院の北面の武士であったが、若くして出家した歌僧である。諸国を旅して多くの歌を残した。
初句「頼めぬに」は、約束もしていないのに、の意である。本巻の第千百九十七首の「頼めずは」が約束のあることを前提としたのに対し、本歌は約束のない待つ恋を詠む。約束の有無が反転した対応である。
二句「君来やと待つ」は、あなたが来るだろうかと待つ、の意である。前歌の「君待つと」と同じく、待つ心を直接に示す。
三句「宵の間の」は、宵のうちの、の意である。まだ希望の残る時間を指す。
四句「更けゆかで」は、更けてゆかないで、の意である。前歌の「いたくな更けそ」が月に夜更けを止めるよう願ったのと同じく、夜の更けることを厭う心である。
結句「ただ明けなましかば」は、そのまま明けてしまったならよかったのに、の意である。「ましかば」は反実仮想で、下の句を言いさして余情を残す。夜が更ければ来ないことが確かになるので、希望のある宵のまま明けてほしかったという、待つ者の屈折した心を示している。
たのむ:頼みに思わせる。約束する
よひ:日が暮れて間もないころ。夜のはじめ
- 作者
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西行
- 出典
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新古今和歌集
- 前の歌
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君待つと閨へも入らぬ槙の戸に いたくな更けそ山の端の月
- 次の歌
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帰るさのものとや人の眺むらん 待つ夜ながらの有明の月